ブランドの世界観を「音」と「声」で表現する「サウンドロゴ」の成功事例5選

最終更新日

生活者がブランドと接触する瞬間は、画面の中だけに留まらなくなりました。

スマートフォンを見ないまま流れる動画、買い物中に自然と耳に入る店内放送、YouTubeの冒頭3秒など、“耳”は生活のリズムの中に常に開かれています。

そしてこの変化は、ブランドにとって「音はブランドの世界観を語れているか?」というたったひとつの問いを突きつけています。

その問いに対する最も端的な答えのひとつが、サウンドロゴです。

視覚ロゴが色や線でブランドを抽象化するように、サウンドロゴは“音の最小単位”でブランドの人格を表現します。そして数秒の音が、ブランド想起を決定づけることすらあります。

本記事では、国内外の代表的な成功例を取り上げながら、「ブランドがどのように世界観を音へ翻訳しているのか」を読み解き、自社ブランドにも応用できる視点として整理していきます。

なぜ今、サウンドロゴが再評価されているのか

サウンドロゴは決して新しい概念ではありません。しかし、今ほどその価値が高まっている時代はないと感じています。その理由は以下の3点です。

理由①:生活者の“ながら接触”が拡大した

現代では、スマートフォンを見ながら別のことをする時間が長くなり、生活者はこれまでより「視覚の注意」をブランドに割いてくれなくなりました。しかし、その一方で、耳は生活と共存するメディアとして意識されないまま音で記憶の層に入り込めるようになりました。

理由②:短い接触でも“音の印象”が強く残る時代に

YouTube、TVer、TikTokなど、“スキップされる前”に流れるたった一瞬の音の印象がブランド価値を左右します。実際にネットフリックスなど数秒・数音といったわずかな音でもブランドが想起される事例も多くあります。

理由③:ブランド体験そのものが“音のタッチポイント”へ広がった

現代社会において、アプリ起動音、店舗・施設のサウンド、ショート動画、SNSコンテンツなど、ブランド音声タッチポイントはますます増えています。

こうした変化の中で、サウンドロゴは「ブランド世界観を音に抽象化した最小のブランド体験」 として価値を持ち始めています。

成功事例5選:ブランドは“音で”何を伝えているのか

ここでは、サウンドロゴに関する5つの代表的な成功事例を紹介します。

事例① 伯方の塩

伯方塩業株式会社 Webサイトより引用

まず取り上げるのは、伯方塩業株式会社が製造・販売する日本有数の食用塩です。

商品名を聞いただけで想起される音は、まさにサウンドロゴのあるべき姿と言っても良いのではないでしょうか。

このサウンドロゴは、旋律よりも“声の質”にブランド性が宿る稀有な例です。
明るく張りがある声質は「清潔」「自然」「塩そのものの純度」を感じさせます。

〈ポイント〉

  • “声”だけでブランドの世界観が立ち上がる
  • 覚えやすい5音で“シンプルな想起”を生成
  • 長期的に同一音を使うことで“生活記憶”として定着

伯方の塩は「音がブランドの資産になる」最も象徴的な事例です。

[参考]伯方塩業株式会社|ギャラリー「サウンドロゴの変遷」


事例② 関西電気保安協会

関西電気保安協会 Webサイトより引用

続いて取り上げるのは、関西圏において絶大な知名度を誇る関西電気保安協会です。

最大の特徴は、地域性 × 音感のフィット感。地域に根付いたシンプルな言い回し × 音感のシナジーにより、親しみやすく、「電気の安全」という固いテーマを柔らかく表現しています。

また、日常に溶け込む語り口に、少しコミカルなメロディが自然と耳に残ります。まさにエリア特性を踏まえたサウンドロゴの代表事例と言えるでしょう。

〈ポイント〉

  • サウンドロゴは“地域文化”とも結びつけられる
  • 楽曲アレンジでブランド再解釈を促す好例
  • 言葉と音のリズムが生活文脈に一致することで、強い想起が生まれる

[参考]関西電気保安協会の〝あのサウンドロゴ″を電気グルーヴの石野卓球氏がアップデート!カッコ良すぎる新WEB動画「関西電気保安グルーヴ」公開


事例③ Netflix「Ta-dum」

Netflix Webサイトより引用

続いて取り上げるのは、“物語が始まる瞬間”をたった2音で表現したNetflixです。

この音は「物語の扉が開く」ような感覚を表現しています。耳障りのない低音と、ほんの少しの残響がNetflixの世界観、すなわち、物語への体験・没入を見事に音へ変換しています。

〈ポイント〉

  • サウンドロゴは“情緒のトリガー”として機能する
  • アプリ起動音と世界観が結びつくと体験価値が上がる
  • シンプルでも“構造的に意味がある”と強く記憶される

[参考]Netflixの「ダダーン」サウンドロゴ、ハンス・ジマー作曲のロングバージョンを聴こう


事例④ マクドナルド「I’m lovin’ it」

マクドナルド Webサイトより引用

続いて取り上げるのは、マクドナルドです。グローバルで統一されたサウンドロゴは、日本のみならず、世界中の生活者が、そのメロディだけで「マクドナルド」を思い浮かべます。そして、次の食事における選択肢の筆頭候補として強く想起されるのです。

まさに“ブランドが提供したい気分”そのものを音で固定した例だといえます。

〈ポイント〉

  • 急がず・明るく・前向き。マクドナルドの世界観を情緒で表現
  • グローバル共通で音が統一されている
  • サウンドロゴ自体が“感情体験”になっている

[参考][サウンドロゴ探求]第1回:マクドナルドの「I’m lovin’ it」に隠れたヒミツ


事例⑤ Nintendo

Nintendo Webサイトより引用

最後に取り上げるのは、世界的ゲーム開発会社であるNintendoです。

Nintendoは多数の音を「音商標」として出願しており、サウンドロゴ・起動音・効果音がブランド体験の核となっています。起動音・効果音が“体験の始まり”を表現するブランドの象徴と言えます。

Switchの “カチッ” という音は、その最たる例です。

ゲームの世界へ入る“境界線”を、ミニマルな音で表現したサウンドロゴの模範解答だと言えます。

〈ポイント〉

  • サウンドロゴは「体験の境界線」をつくる
  • ゲーム性・遊び心・ワクワクを音で表現
  • ミニマルな音でも、世界観が宿ると強い成立性が生まれる

[参考]Otello(デンマーク特許商標事務所)|任天堂による音商標出願のニュース

自社のサウンドロゴを設計するための視点

ここまで5つの成功事例を紹介しましたが、共通しているのは、音はブランドが持つ世界観を翻訳する装置であるという発想です。

ブランドが音をつくるとき、重要なのは音の正しさではなく、 ブランドが何を大切にしているかをどう音に表すかです。そこで、サウンドロゴを設計するための3STEPを解説します。

STEP1. ブランドが持つ人格を音の要素へ翻訳する

誠実、革新、親しみ、高級感など、ブランドが持つ価値は“音の質感”に変換できます。

  • 誠実さ → ゆっくりしたテンポ、柔らかい音色
  • 革新性 → シャープなアタック、クリアな残響
  • 高級感 → 長めの余韻、深い音階

STEP2. 視覚ロゴの構造を音で再現する

自社で使っている視覚ロゴには必ず特徴やそのデザインに込められた想いがあります。それを言語化し、音へとつなぐことで、消費者のブランド体験が一貫します。ブランドの設計思想は、音にもそのまま転用できます。

  • 角度 → テンポ
  • 色の温度 → 音色
  • 余白 → 間
  • シェイプ → 音階構造

STEP3. どの場面で鳴る音なのかを定義する

テレビ、店舗、アプリ起動、SNS広告、ショート動画など、サウンドロゴを使う環境によって、最適な構造は異なります。

そのため、ブランドが勝ちやすい・狙っている接点から逆算することが、もっとも質の高い音設計につながります。ポイントとしては、必ず消費者目線で考える・体験することです。実際に消費者になりきり、イメージしていた通りに伝わるのか?を考え、試行錯誤を繰り返すことで、先述しているようなサウンドロゴがブランド資産そのものへと変容していくのです。

ブランドの声と世界観を“声と音として設計する”という発想

まとめになりますが、サウンドロゴをつくる行為は、音楽制作でも、広告制作でもありません。それは、ブランドの歴史・人格・物語を、音と声に変え、ブランド資産を設計するプロセスです。

NTT西日本が展開する「VOICENCE(ヴォイセンス)」は、声・音・情緒のトーンを一貫して扱い、ブランドの“声体系”を設計する思想を持っています。

サウンドロゴは、その体系の中のひとつの要素にすぎません。声と音が同じ世界観で響いたとき、ブランドは初めて人格を持つ存在として記憶に残ります。

数秒の音。しかしその裏には、ブランドの価値観や物語が凝縮されており、サウンドロゴは、世界観を音の形に閉じ込めた“最小のストーリー”だと考えてください。

だからこそ、問うべきは 「どんな音声を作るか」ではなく、“どんな世界観を、どんな音声で想起させたいのか”。

ふと耳に触れた瞬間、 言葉よりも前に、ブランドの姿が静かに立ち上がる。そんな音を持つブランドだけが、これからの記憶に深く残っていきます。

音声がブランドをまとう時代へ。
VOICENCEは、その変化の先頭で、ブランドの声を育て続けていきます。

音声ブランディング『VOICENCE』に関するお問い合わせは以下からお願いします。
https://voicence.jp/contact/

contact

資料請求、サービスに関する
お問い合わせ

資料請求

サービスについてまとめた
資料をご提供しております。

お問い合わせ

導入のご相談やご不明点など
お気軽にお問い合わせください。